遺品整理を検証してみる

だが企業組織ではそれだけでは困る。 目的に対して全体力を発揮できるようなあり方が求められる。
「和を以て尊と為す」という言葉には、昔からある全体力を追求する日本らしさが見えるが、「和」を保つために多大なる努力を払う、日本の特性だ。 和する力の発揮は国内の戦いだけの話ではない。
和の力をもって挑んだ中国、大国ロシアとの戦争では、薄氷を踏む思いも連勝して、その後の太平洋戦争への暴走とつながってしまう。 悲惨な戦争の結果は焦土と化した日本の姿だった。

そこからの経済的成長は世界に誇っていい。 ここでも発揮されたのは企業を中心とする「和の力」だが、加えていうならばもうひとつの日本の持つ特徴である「情の心」だろう。
「情」を持って接するから、人々が納得して長期間頑張ることができる。 日本で使う「情」という言葉には、とても人間くさい響きを感じる。
欧米ではよく「愛」という言葉が使われるが、日本ではやや高尚ではずかしい気がする。 「隣人を愛せよ」という宗教的な教えではなく、身の内から湧いてくるような思いだ。
人情、情念などの言葉に感じるのは、合理性を超えた人としての判断基準、日本人誰もが持っている心の中の物差しのようなものだ。 こういった「和」や「情」というものは、世の中でも最も大事なものだが、目に見えず、数値化もできない。
「合理」などとは対面にあるものだ。 サンーテクジュペリの星の王子様に「一番大事なものは目に見えないのだよ」という言葉が出てくるが、そういった目に見えない大事なものが、日本流経営の根底にある強みと思えてならない。
この国の先達が築き上げてきた偉業には、間違いなく日本流といえるスタイルがある。 世界においても最も優れたスタイルであることは、他国に対して優れた結果を生み出している、数々の事実が証明している。
その「日本流」とはいったいどのようなものだろうか。 これからのビジネス社会においてどのように進化させていけばいいのか。

人材活用に取り組むいくつかの企業の事例から導き出そうというのが、ここのテーマである。 80年代はこの国のビジネスにとって黄金期といえる時代だった。
米国の多くの学者が日本の企業の経営を分析して、欧米の企業に伝えようとした。 日本流が欧米流に対して、勝るとも劣らないスタイルであることを証明したものといえる。
日本流の経営にはいくつかの特徴があるが、ここで特に強調したいのは「和」の力と「情」の心、もうひとつは「不安」に対して備える気持ちではないか。 将来に備えてせっせと貯蓄する個人や、内部留保を確保する経営者、そこに不安に備える日本人の特徴が見える。

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